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私が、長年魅せられ、探求し続けているボディワーク〔クラニオセイクラル バイオダイナミクス〕は、日本ではまだ、知るヒトぞ知るボディワーク、です。「クラニオのクラって、くらさんのくら?」という質問を、何度受けたことか・・・。いえいえ、畏れ多い、スイスでは保険適用も受けているボディワークなのです。少し説明させてくださいね。

 

©A Child Is Born

 

クラニオセイクラル・バイオダイナミクスは、自己治癒力を活かす働きかけです。

 

私たちは、疲れ、不調、ストレスの影響下にあっても、

身体の奥に 「生命を育み、健康を維持するパワー」を備えています。

このパワーは、先天的な 元気 または 健全さ (ヘルス) と呼ばれ、

受胎の瞬間から存在し、可能な限り働き続け、死ぬまで消えることはありません。

しかし、何らかの原因でこのパワーが十分に効力を発揮できないとき、

さまざまな変調が、体や心に出てしまいます。

 

「生命を育み、健康を維持するパワー」は

身体の中核とも言えるクラニオセイクラル・システム( 頭蓋仙骨系統 ) を中心に、

周期的な波動 ( 第一次呼吸 ) を発生しています。

それは心臓の鼓動や肺呼吸とは異なるリズムを持ち、

あたかも内側からの呼吸のように感じられます。

 

クラニオセイクラル・バイオダイナミクスは、穏やかで繊細なタッチを使って、

身体から発せられるこの 波動 (リズム)、 治癒力 (ポーテンシー) 、体液の流れなど

様々なメッセージを感受し、このパワーをサポートしていきます。

中核からの波動につながることで、身体や神経系統は静まり、

自己治癒力が働きやすい環境が生まれます。

 

また、身体と心は相関関係にあります。

この働きかけは、身体へのアプローチを通じて、

精神活動や心理面にも、その人にとって必要な影響を及ぼします。

全体性に目を向け、身体、心、魂をひとつの統合体として捉えるので、

自然に起こってくる自己調整や癒しがサポートされます。

身体の持つ健全さ (ヘルス) は活性化され、活力が高まります。 (c クラニオ・デイ 事務局)

 

©A Child Is Born

 

「いのち」は、個々の生命体に宿りますが、「いのち」を動かす力は、私たちの内奥に、そして宇宙に、遍満しています。

その力「いのちの息吹―Breath of Life―」とつながることで、クライアントも、施術者も、その場さえも活性していく・・・そんなボディワークだ、と、私は感じています。

私の、これも長年の探求課題である、「リラックスとは何か?」という観点から、再びクラニオセイクラルを説明させてください。

 

リラクゼーションの深遠なる世界に触れる(セラピスト2016年2月号掲載)    松本くら

 

「リラックス」という言葉の語源となるラテン語を調べていくと、laxer→loosen→「ゆるんだ」という単語に、Re→「ふたたび、新たに、繰り返して…」を接頭語としてつけたもの、となります。

この「Re」に着目した、翻訳家・上野圭一氏の文章があります。

「リラックス」は、語源を意識して直訳すると、「ふたたびゆるんだ」という意味になります。「ラックス」だけでも「ゆるんだ」という意味があるのに、なぜ「リ(ふたたび)」を付けるのでしょうか? それはおそらく、時間のない“原初の意識”にふたたび戻るということを意味しているのだと思われます。(「ナチュラルハイ文庫版」127P)

 

Relax:いまだ自他の区別があいまいで、宇宙と自分、他人と自分が、ぼんやりと一体化していた“原初の意識”へと再び戻る時、ヒトは芯から安心し、ゆるむ…これは、私がクラニオセイクラルのセッションのなかで体験してきた感覚に、ぴったり合う解釈でした。

 

この深遠でありながら、ごく何気ない感覚をセッションのなかに招き入れるために、クラニオの施術者は事前に“ニュートラルになり”、セッション中“ニュートラルであり続ける”ことを目指します。

つまり、「クライアントの痛みが消えるといいな」とか「私の実力で通用するかな?」など“私から発する想い”をいっさい横に置き、自我を離れた意識をキープし、「起きてくるすべて、起きないままのすべて、全部OK」という感覚とともにいるのです。

こうした“先に信頼し、信頼に自分を明け渡す”施術者のアクチュアルな(いま・ここに身を置く、主体的な)姿勢が、その場を、安心して委ねられる意識場に整え、セッション全体を支える絶対的な基盤となります。

 

ニュートラルのなかに我が身がおさまった時、見え触れる世界は境界線が薄れ、別々である意味を失い、私もクライアントも、ひとしく“いのちの現れ”になります。そこは“すべて許されてそこにあるもの”となり、場全体が“在り在りとそれしかない”感覚に満たされ、クライアントは自ずと深いリラックスに入っていき、その時々の必然の気づきを得ます。

「息をするのを忘れるほどに深い呼吸にシフトした」「皮膚の境界線がぼやけて、周りの空間へと拡がって行った」「施術者がいるのかいないのか判らなくなった」など。

また、ひとりでにからだが最も自然なバランスへ調整する、自己治癒のプロセスを感受するケースも、しばしば起こります。

 

私は、ヨガのクラスをファシリテートしたり、様々な施術を行うたびに、深いリラックスは“ニュートラルに守られて現れてくる”ことを実感し、これがすべてのセラピーに共通する施術者の在り方だと知りました。

それは同時に、“許されて在り在りとあるすべて”のなかで、この世界を味わっていく“体験”であり、在るものすべてが、在ることを喜び、宇宙が宇宙であることを寿(ことほ)いでいることを知る“体験”でもあります。

最後に、クラニオを体験された、心理療法家であるクライアントさんの散文詩を紹介させていただきます。

 

なに おもうことなく

ひとりでに なされる息のうごきに

なに おもうことなく

意識むけると

そこにある とわの楽園

 

クラニオの体験は、〔先に安心し、安心に自分を明け渡す〕体験、とも言えます。
現実の中を生きていく時、外に安心を求めても、得られることはありません。
〔芯からの安心〕を、クラニオというボディワークの中で体験することで、からだも心も元気を取り戻し、この世界との信頼関係を回復できる、と、私は考えています。

 

このボディワークは、ヨーロッパで19世紀に始まったオステオパシーという手技療法から、発達していきました。「クラニオセイクラルバイオダイナミクスの父」と呼ばれるサザーランド博士は、こんなヒトです。

 

ウィリアム・ガーナー・サザーランド博士(1873ー1954)

脳脊髄液の内には、私が「ブレス・オブ・ライフ」と呼ぶ、目に見えない要素があります。
このブレス・オブ・ライフを、液の内の液として、他と交じり合うことのないものとして、
動きを起こすポーテンシーとして、見ようとしなさい。
何が液を動かすのかを知ることは、さほど重要ではない。ポーテンシーを見るのだ。
ポーテンシーの持つ知性は、人間の知性を超えた力なのだから。

 

1873年 3月27日生まれ
1900年代初頭、オステオパシー(整骨療法)の診療を行い、
クラニアル オステオパシー(頭蓋の整骨療法)という新分野を開拓しました。
オステオパシーの創設者アンドリュー・テイラー・スティル博士(1828-1917)の元で学び、
頭蓋から仙骨に至る中核システムと、その液状の動きが、
どのように人に影響を及ぼすかという理論を開発、
最終的にそれについての体系を造り上げました。
当時、医師達は
頭蓋骨の縫合は青年期に融合しその時から動かなくなると教えられていましたが、
ウィリアムは分解された頭蓋の縫合を調べた結果、
「頭蓋は、動きに対応するように設計されている」と確信しました。
彼は個々の頭蓋骨の動きを制限できるヘルメットを考案し、自分自身に実験を行い、
それに基づいた臨床実践の方法を開発し、成功しました。
彼の教えは本来身体が持つ健全さ(ヘルス)に立脚し、
ローリン・ベッカー博士(1919-1996)達へ受け継がれて行きました。
ICSB®テキスト および IACST® HPより 抜粋
クラニオ・デイ 事務局

 

 

色々な角度から、説明を試みてみましたが、このボディワークを受けた方がよくおっしゃるのが、「ヒトにどう説明していいか判らない。受けてみて、と言う他ない」という言葉です。
せめても、受けた皆さんの感想をいくつか、最後に載せますね。

 

・自分と向き合うことができました
・自分では感じてなかった体の部分が、一部分ですが改善できました
・身体が楽になった。気持ちも穏やかになった
・自分の身体をより内側から見ることができ、本来のダイナミクスを感じられました
・深いリラックスをして、元気が湧いてきました。体を休めるという感覚を味わってとても気持ちよかったです
・とても静かで落ち着くことができた。悩んでいたことで自分を責めていたけど、悩みも自分も受け入れることができた。

 

©A Child Is Born

 

クラニオセイクラルやセラピーに関するコラムを、ここで連載しています。ご興味をお持ちになったら見てくださいね!

 

 

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